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とるにたらない
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③京→堕

ずるいことはわかってる。
わかってても、俺は言う。

「諦めて俺にしたら」

目ぇ見開いた堕威くんに、俺は代わりに目ぇ伏せて。

「……って、言うたらええのに」

溜息吐くのを聞きながら、俺もまた息を吐きたなる。

「簡単に言わんでや、京くん」

簡単になんて言うてない。
やからそれを言うのがどれだけ大変か、そんなこともわかってるつもり。

「言えるもんやったらとっくに言うてる」

「そやな」

「誰もそんなん…言えるはずないやんか」

「……そうやな」

複雑に絡み合った関係性が、延々繋がっていく。
それは螺旋かメビウスか。
誰一人も救われないまま。

綺麗事やと思われてもええけど、俺は伝えて嫌われるより悩ます結果になるんが嫌やから。
これ以上悩まして、負担も重荷も御免やから。
結局は優しさが先に立って何も言われへん堕威くんが切なくとも、そこに惚れてるのも事実やから。

好きな相手にのみ向けられる、そんな不器用な優しさでも。
俺はすべてわかって相談役を引き受ける。
いつかこちらに落ちないか、そんな浅はかな期待を抱きながら。

ずるさも時には必要やろ?
糾弾されても事実は事実。
覆されざる真実はここにある。



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