とるにたらない
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見開いた目に飛びこんだ天井の白。
それは夢。所詮夢。解ったと同時に溜息が洩れた。
安堵だろうか。――そのはずだ。
ゆっくりと体を起こす。全身どこか鈍く感じ、まだはっきりと回らない頭がまるで目を覚ますことを渋っていたかのようだ。
あれは、夢。所詮夢。
今となってはもう言葉を交わすのさえ難しい相手とあんなにも親しく、それでいて穏やかに過ごすなど。
浅い眠りの中で無秩序に開いた記憶の残骸が無責任に人生の欠片を見せつける。
それが、夢なのだ。
だというのに、事実まだ脳が混乱している。
囁いた言葉も。動いた感情も。すべてがまだこの身内から消えてしまわずに沈殿する。
フェイクからリアルへ。その変化は当然痛みを伴い、掻き毟りたいほどの焦燥がある。
自分の中で消えてしまったかと思っていた感情が、ここに来て未だ苛むのかと。
考えてみればひどく憂鬱な心地にならざるを得ない。
「どんなに想ってもくるしいだけなのに」
捨てることができないなんて、噫、なんて厄介なんだろう。
一度起こした身をまたベッドに投げ、長身を伸ばす。
脳裏に浮かぶ顔と、目蓋の裏に灼きついた貌。
時が経っても風化しないものはある。
彼は大人だから赦してくれるだろうなんて、身勝手で傲慢な独り言だ。
解っていたはずだろう、捨ててしまおうとしたときから。
その場所を地中深くへと決めたときから。
いつかその種が再び芽吹くことを、予測できていたはずだろう。
解っていてこうして暗く静かな場所へと放置し、涙と嫉妬を与えてきたのだから
全ては、俺の責任なんだ
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